接待.02
翌日、目が覚めると扉の前に一切れのパンが無造作に置かれていた。よく見るとカビが生えてネズミの齧った痕もあるが、娼館に来て初めてのまともな食事だ。
「夢じゃ、ないよね。パン……パンがある! まともな食事出ることもあるんだ……いただきます」
十字を切って神に祈りを捧げ、パンの欠片を頬張った。パサパサとした触感だが、小麦の優しい風味を感じると涙が込み上げてくる。
「美味しい。美味しいよう。パンにこれほど有難みを感じる日が来るなんて……ごちそうさまでした」
朝食は僅か三口ほどで終わったが、胃袋より心が満たされた幸福感に浸っていた。これからクラリスの一日が始まる。
彼女はタライに水を張って、それをお風呂代わりにした。束子で身体をゴシゴシと洗い、こびりついた垢と精液の残滓を落とす。
次に残り水で着ていた襤褸切れを洗い始めた。昨夜、替えの下着についてミザリィに相談すれば良かったと、今更になって後悔する。
身支度を終えたところで扉がガンガンと叩かれた。その粗暴な叩き方からして、手下がやってきたのだろう。緊張感が高まる。
「はい……?」
扉を開けると、そこに立っていたのは見知らぬ太った巨漢の男だった。クラリスを見るや否や、鼻息を荒くして襲い掛かってきた。
「き、きっ君が、新入りの処女ロリっ子だって?! ああ、可愛いなぁ。可愛いなああああ!!」
「キャアアア! だ、誰っ?! ちょ、止めてぇ!!」
クラリスは部屋に押し入ってきた巨漢の男に手首を掴まれると、バシンッとベッドの上に叩き付けられた。
背中を強打して、呼吸が出来なくなる。グハッと潰れた声がして、それから彼女はピクリとも動かなくなった。
「誰って、この娼館に来るのは、僕みたいな客しか居ないだろおおお! ひひっ、服が捲れてプリッとした可愛いお尻が丸見えだよ」
デカい図体を屈めて、様々な角度からクラリスの視姦を始める。身体にこそ直接触れないが、生温い鼻息が太腿や尻に吹き掛けられて、生理的な嫌悪感を催す。
「かはっ、ごほっごほっ! もしかして、私を買った人……ですか?」
「そうだよおお! 僕ね、処女の子がだーい好きなんだぁ、ここのオーナーとは旧知の仲でね、活きのいい処女が入荷したからって連絡が入ったのさ!」
男は巨体を揺らして嬉しそうに飛び跳ねながら喋った。よりにもよって、昨日の今日でこんな醜悪な客を相手に処女を奪われるのかと思うと、クラリスは茫然自失となった。
正に豚男と言うたとえが最もしっくり来るだろう。脂汗を全身に浮かべ、弛んで伸び切った皮膚の間には垢が溜まっていそうで、不衛生の塊だ。
「それじゃ、やっぱりお客さん……あの! 私初めてで、全然何も知らなくて! お願いです……優しく、して下さい」
「全然だなんて嘘だあ。だって君、アナルは既に開発済みなんでしょ? それにフェラチオも上手だって評判を聞いたよお~」
この娼館では、少女達の管理も一見杜撰に見えるが、その裏では逐一チェックを受けてデータが細分化されていた。
つまり、クラリスが手下によってアナル処女を奪われたことも、男子便所で大勢のフェラ抜きをしたことも、娼館の利用客全員が周知の情報なのだ。
「そ、それは全て、無理やりの行為でっ――」
「君、何を言ってるの? 無理やりも、クソもあるかよ。君らに尊厳ってあると思ってんの?」
豚男の声のトーンが急に低くなった。クラリスに対する好奇心より、憎悪が強まっていると本能で感じ取った。
「すみません! すみません、ごめんなさい……! お客様の言う通りです……私はただの商品なので、出過ぎた真似をしました」
その場で姿勢を正して、クラリスは床に頭を擦り付けながら土下座をした。それは土下座と言うよりも懇願に近かった。
「グフフッ、いいんだよ分かってくれれば。大丈夫、僕は優しいから安心してねえ。その代わり、自他共に認める、ちょっと変態さんなんだけどね」
豚男は腰から提げたポシェットの中をゴソゴソとまさぐる。やがてそこから取り出したのは、小さな瓶だった。
いきなり得体の知れないものが出てきて、強い恐怖心を与えられた。クラリスは恐る恐る、でも、なるべく刺激を与えないように訊ねる。
「用意がいいんですね。その瓶って、一体何が入っているんですか……?」
「グフゥ、興味ある? 今すぐ試したい? これ何だと思う?」
「さ、さぁ……精力増強剤……とか?」
「ぶっぶー残念でしたあ! そんなに飲みたいなら、外れた罰として一気飲みさせてあげるねえぇ!」
キュポンと小瓶の蓋を開けると、豚男はクラリスの顎をガッと鷲掴みにした。凄まじい握力で、親指と人差し指で頬を抑えつけてくる。抵抗しようが、どうしても口が閉まらない。
「さあ、一滴も零さずに飲むんだよ仔猫ちゃあーん」
「うっ! ぐうう! がっ……ごきゅ、ごきゅきゅ、ごきゅっ」
タールのような悪臭を放つ黒い物体が喉奥に流し込まれた。無抵抗のまま、喉を鳴らしてクラリスは小瓶の中身を全て飲み干した。
「よく出来ましたねえ、えらいえらい」
毛深い腕で頭をわしゃわしゃと雑に撫でられる。げえげえと嘔吐をするが、即効性なのか体内に吸収されて何も出てこない。
「ぶぅおえええええ! ぼえええええっ! ごほっごほっ」
「ハハハ、無駄無駄あ。正解を教えてあげる。それはねえ、裏マーケットで手に入れた超強力な利尿薬だよ。暫くすると、君はおしっこが止まらなくなっちゃうんだ」
「げほっ、おしっこが、止まらなく……?! いやあああぁ、どうしてそんなものを……悪趣味よ」
「そりゃあ、僕は処女も好きだけど、それと同じくらい美少女のおしっこも大好きなんだ。勿論、僕が全部飲ませてもらうからねえ」
これまで娼館で受けてきたどの屈辱的な行為よりも、羞恥心を伴うプレイだった。これより、豚男の凌辱が始まる――。
「グヒヒヒッ、抵抗とかしたらオーナーに言いつけちゃうからねー」
「ああっ、いやぁ! ちょっと待って! 止めてっ、そこ、ばっちいから……やあんっ」
豚男はクラリスの両の足首を掴むと、強制的に股を開かせた。当然下着を身に着けていない彼女は、秘部を曝け出すことになる。
「うおぉお~! 感動だっ、なんて綺麗なおまんこなんだ! 美しいワレメ、無毛の大地、淫靡な香り……どれも最高芸術だぁあああああ!!」
感動のあまり発狂する。こんな大声で叫ばれては、娼館内の全員に聞こえてやしないかと、堪らなく恥ずかしさが込み上げてくる。
「お願い、です……あんまり、ジロジロと、見ないで……」
「えぇ~しっかり目に焼き付けておかなおいと、帰ってオナニーが出来ないじゃない。どれどれ、処女膜は、と……」
これ以上抵抗をするとオーナーに言いつけられると言う恐怖で、クラリスは豚男の行為を制止することが出来ず考えあぐねいていた。
せいぜい、手のひらで相手の頭や身体を抑えるくらいだが、140キロは優に超える豚男の肉体はビクともしない。
太くてごつごつした指が、クラリスの控えめなビラビラをペロンと捲る。中まで広げると、白くてやや分厚い膜が膣内の周囲を覆っていた。
「処女膜ちゃん見っけえ。うんうん、数十分後にはこの膜も僕に貫かれちゃうんだ。可哀想にねえ」
可哀想って思うなら、今すぐレイプまがいの強引なセックスを辞めてと叫びたかったが、それは喉まで出掛かってどうにか堪えた。
「いきなり挿入とかはナシでお願いします……処女だし、まだ全然濡れていないので……」
「んー、それもそうだねー。じゃあ僕と授乳ごっこして遊ぼっかあ」
豚男が次にポシェットから取り出したのは、カップの付いた怪しげな器具。これは俗に言うポンプ式の手動搾乳機だった。
「君の貧乳じゃ痛いかもしれないけど、モノは試しって言うからやってみようか」
手際良くカップの部分が右の乳房をすっぽりと覆う。本体をシュコシュコと押して、幼い乳首を強烈に絞り始めた。
「ぎゃあああああ! ひぎいいいいいぃぃぃ!」
「ええ? そんなに痛いの? オーバーリアクションだなあ、コメディアンでも目指すのかい。グヒヒィ」
まだ幼い少女には、大人の女性が使う搾乳機の吸引力は激痛でしかなかった。しかもこの器具は、豚男の手によりチューニングが施されているらしい。
「僕はアダルトグッズの蒐集家でもあってねえ、お気に入りの道具を魔改造するのも趣味なんだ。どう? スーパー搾乳機、チチコちゃんの威力?」
「ひぎいいいいぃぃ! 取れるっ! 乳首が、乳首が取れちゃうううううう!」
チチコの恐ろしく暴力的な吸引により、クラリスの乳首は限界まで引っ張り上げられる。紫色に変色してとても痛々しい有様だ。
「わっ、わだぢのちぐびが……取れる取れる取れちゃうううう! ひぎゃあああああああぁ!」
「君って愉快な反応をするから飽きないねえ。どれ、左の乳首も吸ってみようか。レッツゴー」
シュポ、シュポ、チチコを数回プッシュしてようやくカップが離された。クラリスの右の乳首は異様に伸びて形状が元に戻らない。どす黒く変色して、素人目にもかなりの鬱血状態だと思われる。
「はーい、今度はどんな悲鳴が聞けるかなー? 僕、ワクワクしちゃうね」
シュコショコ、シュコシュコ、と右の乳房の時よりも倍近いの圧力でカップが密着される。
「や、止め……そんなに密着して、おっぱい吸われたら……乳首が、二度と使い物にならなくなっちゃう……」
「その時はどんまいだね。借金を背負った自分の親を呪うといいよ。あ、そーっれ!」
ニチャアと笑い、おどけるようにして豚男はフルパワーの搾乳を始めた。
「う、うぎゃああああああああっ! があああああああっ!!!」
激痛なんてものじゃない。意識が飛んでショック死してしまうのではないかと思うほどの凄まじい苦痛だった。
転げ回って今すぐ搾乳機を外したいが、男にしっかりとホールドされており自由を奪われている。
「いいいいたいたいたいたいたいたいいたいたいたい!!!」
先端部分の乳頭からプツ、プツと皮脂腺が開いて血が噴き出してくる。それを見て豚男はブヒブヒブヒィと発狂する。
「おおおお! ロリ少女に限界までパワーを上げたチチコを使えば血が噴き出すのか! これは新発見だぞぉ!!」
滴る程度の出血から、次第に勢いが増して、瓶底には真っ赤な血のプールが出来た。
「おご、おごごごごごっ……」
白目を引ん剥いて、クラリスは遂に落ちてしまった。痙攣をしているが、脈拍はあるのでまだ大丈夫だろうと豚男は判断する。
「流石にこれで死ぬことはないと思うけど、万一のことがあったらオーナーに叱られるもんな。このくらいで許してあげよう」
男は搾乳機を外して、その辺にポイと投げ捨てた。お楽しみの本番は、どうやらこれからのようだ。
「15分経過、そろそろだな。おまんこ開いて尿道見せてもらうよ」
「う……あ……」
意識が戻らないクラリスの膣を指で開いて、尿道の穴にデコピンした。極小の穴がひくついて、準備が出来たことを報せる。
「失神したまま大失禁なんて、この僕でも人生で初めてだ。何リットルのおしっこが出るかな? お、来た来た来たっ!!」
「ぎゅるるるるる、プシュウウウウウウウー!!!」
津波のような、怒涛の放尿シャワーが顔面に降り頻る。それを待っていましたと言わんばかりに、豚男は大口を開けて飲み込まんとする。
「ごきゅっ、ごきゅ! ごきゅっ、ごきゅっ!」
大ジョッキのビールでも飲むように、喉を盛大に鳴らして搾り立てのフレッシュな尿をガブガブと浴びる。
水道水で空腹を凌いでいたことが仇となり、なかなか放尿の勢いは収まらない。ツーンとアンモニアの臭いがシーツや壁に染み付く。
しかし、変態性欲がなせる業と言うべきだろうか。豚男は1リットル以上も排出したクラリスの尿を飲み切ってしまった。
「ごきゅっ、ごく、ごくんっ! ……ぷはぁ! うまあああぁ~! ロリの搾り立ておしっこ美味すぎぃぃぃ!!!」
豚男がウオオオオと両腕を高らかに上げて嘶く。この男は、娼館に訪れる上客の中でも特に異質で、異様で――狂っている。
「つ、つぅ……あっ、ああああ……」
浮遊していたクラリスの意識が肉体へと帰還する。眼前を見上げると、下半身を丸出しにしてフル勃起した豚男が腕を組み、仁王立ちして待ち構えていた。
ハアァァと口臭を撒き散らして、ニヤニヤ薄ら笑みを浮かべながら、彼女が目覚めるのをずっと待っていたようだ。
「おはよう仔猫ちゃあーん……パパとママのいい夢でも見られたかい?」
「ご、ごめんなさい……もう、許して……」
「何を謝るのさ? 本当は睡姦してみようと思ったんだけど、こうして君が起きるのを待っていたんだ。とても優しい男だよぉ僕は」
「でも、痛いのは、もう……嫌……出来ない」
恐怖のあまり、出し切ったはずの尿がチョロチョロと溢れてきた。豚男はそれを見て無我夢中でシーツに飛びつく。
「ああっ! 勿体無いじゃないか隠していたな! おしっこは僕が全部飲むと言っただろう! じゅるっ、じゅるるるるる!!」
尿の染み付いたシーツを剥ぎ取ると、フゴフゴと鼻息を立てながら、汚した部分を口に含んでジュポジュポ吸い出した。
「ひいいいいいぃぃ!!」
異常な変態性欲を目の当たりにして、クラリスは心底怯えた。本当はもう少しだけ尿が出そうだったが、膀胱が委縮して引っ込んでしまった。
「さ、ささ。それじゃメインディッシュのおまんこちゃんをいただくとしようかなあ~……」
期待のあまり、ギンギンに勃起した肉棒がドクドクと脈打っている。血液の流れに合わせて、ピク、ピクと亀頭が天井を仰ぐ。
「これ以上痛いのは、また、気を失っちゃうから……止めて……」
「でもね、これは僕の拘りなんだけど。やっぱり処女貫通の儀式は、苦痛を伴うほど崇高なものだと思うんだぁ」
「そ、んな……」
「だって一生に一度の想い出を、初めての快楽を神によって与えられるんだよ。試練を乗り越えて、君はいつかこの娼館の女神となるんだ」
何を訴えても自分だけの世界にトリップしてしまう豚男の前では、正論も、懇願も、最早通用しないとクラリスは悟った。
涙が溢れそうになるが、ふと、ミザリィとの会話が脳裏に甦ってくる。いつか、耐え凌げば地獄から救出される日が来るかもしれない――。
「分かりました……ご主人様。どうか、この幼いまんこの初物を奪って下さい……お願いします」
「ブヒヒヒィ! ご主人様だって、君も賢くなったみたいだねえ! 今一気にIQが30くらい上がったんじゃないの? 素晴らしいよ!」
彼女なりの考えがあった。豚男を煽てて木に登らせれば、さほど酷いことはされないだろうと言う目論見があった。
「辛抱溜まらんって顔しているねえ、可愛い可愛い。待ちきれないみたいだから、早速処女もらっちゃうね。いただきまぁーす」
ドスンとクラリスの上に跨ると、前戯もしないで亀頭をワレメに擦り付けてくる。
「待って! あの、避妊具〈ゴム〉は……? それに、全然濡れていないから、これだと痛――」
「あのさ、今度はIQ50くらい下がったの君? さっき僕は言ったよね、苦痛を伴うほど崇高なものだって」
「えっえっでも、それじゃ赤ちゃんが……待って絶対に痛いから、まっ……うぎゃぁあ! ひぎゃああああああああああああ!!」
メリメリメリメリィ! 有無を言わさず、強引な腰つきで豚男の肉棒が押し入ってきた。ビリビリとした焼き付く痛みが襲い、クラリスは何度目かの絶叫をする。
「うげえええええええぇぇえ!! 死ぬうううう!! 死んじゃううううううっ!!!」
「ウホッ! 凄い、凄いよぉ! 名器じゃないか!! 僕のちんちんが膣圧で捩じ切られてしまいそうだよお!!」
調子に乗った豚男は、乾いた膣内の中をめちゃくちゃに肉棒で掻き回す。やがてヌルッした感触が伝わるが、これは豚男のカウパー液でしかない。
「うほっ! うほっ! うほお! ふっふっふっふっふっふうっ――」
夢中になってクラリスの上で腰を振っている。巨漢を覆った脂肪から、汗か、摩擦して溶けた垢なのか、よく分からない不衛生な水がポツポツと滴ってくる。
「ひぎゃあああああっ! ぐうえええええっ……ぶげええええええぇぇ! 痛い、汚い、もう止めてええええええ!!!」
同じく豚のような悲鳴を上げてクラリスが叫び続ける。あれほど我慢しようと決めていた涙が、頬からポロポロと自然に溢れ出た。
「はあっ、はあっ、最高だよお! その表情が見たかったんだ。処女を奪われて泣き叫ぶ少女は、僕にとっての女神様だあああああ!!!」
ひぐひぐと鼻水を垂らして顔をくしゃくしゃにしながら泣くことしか叶わなかった。クラリスの尊厳は蹂躙され、トイレのちり紙のように流された。
「ぐちゅっ、ぐにゅっ、ぐちゅぐちゅぐちゅ、ぐちゃあっ」
性器の結合部から淫猥な音が聞こえてくる。凄まじい痛みと、おぞましい恐怖心と、それらが混ざり合ってクラリスの思考を侵食する。
「うあああっ! ぎゃあああああっ! ふげぇっ! ぶおぉえええええええっ!!」
今にも嘔吐しそうになるが、貴重な朝食のパンを出すまいと必死で耐える。混乱して頭がおかしくなりそうだった。
ズルンッ! 豚男の肉棒が突然引き抜かれる。亀頭から竿にかけて赤く染まり、膣からは血が溢れた。
いきなり豚男はクラリスの膣に顔を埋めて、その血をズルズルと音を立てて啜り出す。さながら好色家のヒルのように。
「にゅちゅ、にゅるっ、にちゃ、にちゃ……」
「舐めないで……ああっ、あああん、あ、あんっ」
痛みを超越して本当に頭がおかしくなったのだろうか。それともこれは諦観だろうか。彼女は、抗うことを忘却してしまった。
「はふっ、はふうっ、処女の血を舐めるのも僕の儀式のひとつなんだ。君のおまんこの血、鉄分たっぷりでなかなか通な味わいだよお」
不潔な白い舌苔をちらつかせながら、無心になって幼ワレメを舐め続けた。まだまだ凌辱は終わりそうにない。
「ゲプッ! ご馳走様。今度は体位を変えよっか、僕の上に乗っかって」
豚男は自らの巨漢をベッドに横たわらせ、クラリスを腹の上に乗せた。ヒキガエルのような顔が、彼女を下から見上げている。
「ひぐっ、うう……どう、やればいいのか、分かんない……です」
「そんなんじゃ女神様にはなれないよ。君自身で、僕のちんちんを掴んで、幼いロリまんこの中にエスコートするんだ」
「ううっ……うぁ、分かり、ました……」
涙でぼやけた視界と虚ろな思考の中で、クラリスは豚男の肉棒を掴み、その上にゆっくりゆっくりと鎮座する。
「ズルッズルズル、メリメリメリメリ……」
残りの処女膜もこれで完全に破れてしまった。一般的に誤解されやすいが、処女膜は一度で破れるものではなく、徐々に擦り減って破れるものだ――。
「うおおおぉ?! おぉお~!! ヌルヌルなのに穴が狭くてっ気持ちいいいいいいい!!」
陰茎が3分の2ほど埋もれたところで子宮にぶつかった。最奥まで到達してしまい、それ以上はどうやっても奥まで進まない。
「うげええええっ! げえええええええっ! ぐげええええぇぇぇ!!」
醜い声を上げながらクラリスは腹の上でバウンドする。子宮に豚男の異物がぶつかるたび、ズキンッとした鈍痛がやってくる。
「幼い処女の膣穴を僕のおちんちんが犯しているよお! ほうら! ほらほうらぁっ!」
ぐっちゃ、ぐっちゃと怪物の租借みたいな音が狭い部屋の中を残響する。彼女の理性は、肉体は、怪物に食われてしまった。
「ああああっ! あああああん! あああああああっあっあっあっ!!」
「急に艶っぽい声を出してどうしたのお? もしかして、処女なのにもう感じてきたの? レイプされながら感じちゃってるのぉ?!」
生理的な反応でしかないが、豚男の性欲を掻き立てるには充分だった。少しずつ込み上げてくる射精感を堪えようと抗う。
「はあっ、はああっ、気持ち良すぎるけど、まだイクのは早いからもっと楽しまないとねえ。グフッ――そうだ」
豚男は右手を伸ばすと、 2センチは伸びて変色した乳首を指で摘まんだ。
「んぎゃああああああああっ!!!」
「あはっ、想像通りの反応だ。僕以上に自分だけ気持ち良くなるなんてありえないでしょ? もっと仕事に誇りを持って。罰として乳首責めしちゃうぞお」
左手も伸ばし、クラリスの両方の乳首を摘まむと、より大きな腰使いで激しくグラインドを始めた。
巨漢がバウンバウンッとベッドの上を跳ねる度、乳首が思い切り引っ張られてあの痛覚が呼び起こされる。
「ぎゃあああああああああっ! 取れる、乳首が今度こそ取れちゃううううううっ!」
「大袈裟だなあ、人体はそんな簡単には壊れないよ。これまでの数多くの処女とのプレイで実証済みだから」
「あああああっ!! 乳首もおまんこもおかしくなるううううっ?! どっかいっちゃううううううっ! 誰かああああああっ!!」
半狂乱になって豚男の上で叫ぶ。その反応を見て、卑しい顔で過去最高の笑みを見せる。
「今日は最高のおまんこちゃんに巡り合えて僕は満足だよっ! じゃあ、そろそろフィニッシュといっちゃおうかなあ?!」
「おお、お願っ……中は、ダメ……外にぃ……」
「んー? 何だってぇ? 君はIQ0のアメーバになっちゃったね。この期に及んで、中出し以外の選択があるわけないじゃん」
「でも、中に出されるの……怖い……私、商品です……よね?」
「その商品を買ったのは僕。だから僕の好きにしていいの。それに君、初潮だってまだだろう? 妊娠なんてしないから出しちゃうよおぉ!!!」
より肉棒の突きが強引になって、ズン、ズンと押し込まれると、海綿体が小刻みに震え出した。
「あああああああああああっ!! 嫌ああああぁっ中はいやあああああああぁぁぁ!!!!」
「はあ、はあ、出すよ! 出るよっ、出るよ出るよっ出ちゃう! 僕の赤ちゃん原液を注いであげるねえええっ!!!」
ドクンッ! 肉棒の全体が大きく波打つと、続いてブシャアアアアと土石流のような精子が発射された。
「ビュルルビュルルルルウッ! ビュルルルルルッ!」
子宮と膣内に収まりきらなかった精子が結合部から泡となって溢れ出す。豚男の長い射精が終わると、クラリスはドサッと倒れる。
目の焦点が定まらず、意識があるのかないのかも定かではない。性癖の歪んだ魔獣の檻から、ようやく解き放たれた。
「う~ん、今日は大満足だよ。最後の仕上げに、僕のちんちんをお口でキレイキレイにしてね~」
倒れて動かないクラリスの口を強引に開き、射精したばかりの肉棒を捩じ込む。まるでダッチワイフを相手にしているようだ。
「じゅぷ、じゅぷ。じゅぽっ、じゅぽ。じゅぽっ……ちんちんも綺麗になって、これでスッキリ。今日はありがとう、名前――クラスケちゃん? だっけ?」
「う、あ……クラ……リス、です……ありがとう、ございました……」
「ふうーん。君と遊ぶのも最初で最後だから別に名前なんていいけど。さーて、次の処女が入荷したらオーナーから連絡入れてもらうようにしよ~」
ウキウキで豚男が部屋から出ていった。めちゃくちゃに犯されて、全身がヒリヒリと痛む。特に乳首と膣の損傷は、数日では治らないかもしれない。
「うう、こんなのが続くと……もう耐えられないよ……お父さん、お母さん……ミザリィ……」
止めたくても、涙は一向に止まらなかった。泣く度に、膣からブヒッと音がして、奥に溜まった豚のDNAを持つ精子が溢れてくる――。
いつの間にかクラリスは眠っていたようだ。気付けば既に夕刻の時間帯で、時計の針は5時過ぎを指している。
「いけない、あれから寝ちゃったんだ……この部屋は窓がないから、昼なのか、夜なのか全然分からないよ……」
汚れたシーツや衣類を綺麗にしようと身体を起こすと、ベッドの隙間から紙幣がピラッと一枚出てきた。
「あっこれ……お金だ。もしかして、これがチップ?」
それは紛れもなく、豚男がクラリスに与えたチップだった。僅か1ソル、これは成人男性が一日で稼ぐ額の5分の1程度だ。
この娼館で暮らす少女達は、客からもらうチップを元に、好きな食料であったり下着や衣類を購入するシステムとなっている。
「だから、ミザリィってあんな可愛いクマのパジャマを着ていたんだ。せめて、私も下着くらいは買わないと……これで足りるのかな」
まだ彼女にとってこの娼館は未知なことが多すぎる。もし、今夜またミザリィと話すことが出来たら、色々教わりたいと思った。
やがて夜になり、扉の入口に朝と同じようにパンの切れ端が置かれた。本日二度目の食事となる。
「良かった……トイレの特別な食事は毎日ではないんだ。こんな小さなパンでも、一日に二度も食べられるなんて嬉しい……」
パンを拾い上げ、再びベッドの上に腰掛けたところで扉がノックされた。
「クラリス? いるかい? あたしだよ」
ミザリィの声だった。 彼女に会いたいと思っていたクラリスは、急いで扉を開ける。
「ミザリィ! 会いたかった……あっ、その子は――」
「今夜はあんた以外に信用している、もう一人の子を連れてきたんだ。誰かに見られる前に入っていい?」
「どうぞ、すぐに入って」
クラリスはミザリィともう一人の少女を部屋の中へと招く。キョロキョロと見回して、近くに誰も居ないことを確認してからギィと扉を閉めた。
「いやあ、今日はあたしも大変だったよ」
暗がりの中では気付かなかったが、ミザリィの右目付近には大きな青あざが出来ており、片目が開かない状態だった。
「ど、どうしたのその怪我?! お客さんにやられたの……?」
「うん。そいつがハードSM趣向のヤバい奴でさ、骨折プレイが好きとか言い出すから無理だって拒否したら、顔面ボコられちゃったよ」
「無茶苦茶だよ、そんなの、酷過ぎる……」
改めてクラリスは、自分だけが不幸に見舞われているわけじゃないことを痛感した。娼館に居る商品は、全てが皆平等なのだ。
「私も今日、ついに処女を奪われちゃった……」
「その話……さっき小耳に挟んだよ。あのデブ、この娼館の上客でさ。態度も最悪なんだけど、噂ではオーナーの遠い親戚らしくて。誰も歯向かえないんだ」
「そうだったんだ……でも、私どうにか耐えた。頑張って耐えたよ……沢山泣いちゃったけど」
「偉いねクラリス。本当に偉いよ……そうそう、今日はどうしてもこの子に会わせたくて、連れてきたんだ」
先ほどからずっと黙りこくっている少女を指差して、ミザリィは紹介を始めた。
「この子の名前はロサ。クラリスの少し前くらいに娼館にやってきた女の子なんだけど……この子も、脱走の計画に参加してもらうことにする。寧ろ、ロサこそがキーパーソンなんだ」
ロサと呼ばれた少女はクラリスに対して丁寧なお辞儀をした。きっと出自も良いのだろう。着ている服こそみすぼらしいが、長い漆黒の髪はサラサラとしていて、ふんわりと石鹸のいい匂いがする。
「ロサと言います。ミザリィさんからクラリスさんのことを色々と伺いましたわ」
「初めまして。敬語は、なくてもいいのかな……? 私はクラリス。まだここに来たばかりで、よく分かっていないけれど宜しくね」
ロサはにっこりと微笑んで握手を求めた。手をギュッと握る。そのお人形さんのような端正な顔立ちは、とてもこの娼館に似つかわしくない。
「じゃ挨拶もほどほどにして、ロサを連れてきた経緯を説明しようか。あっ、パンは食べながらでいいよ」
食事前だったクラリスを気遣うと、代わりにお腹がグゥとなって返事をした。場の空気が一気に和やかなムードに包まれる。
「それで、ロサなんだけど。この子の祖父は有名な建築家なんだ」
「建築家、凄い。この辺りの有名な建築家って言うと、もしかしてユリウス家ってこと?」
「はい、ご存じでしたか。私はユリウス家の長女です。祖父も、父も、建築一筋の家庭で育ちました」
「そんな令嬢が、こんな場所に連れてこられるなんて……」
ロサもまた、何かしらの事情があってこの娼館へと連れてこられた、不遇の少女であった。誰もが仄暗い過去を背負いつつ、多くを語らずに生きている。
「驚くのはそれだけじゃないよ。ロサの祖父は、なんとこの娼館を建築する時に全指揮を取った現場監督なんだ」
「えっ、それって、つまり――」
「この脱走計画、無謀じゃないことが分かったかな? どうにかして外のロサの祖父と連絡を取れれば、娼館の設計図が手に入るはずなんだ――」
昨日までの話だと、どこかまだ夢見がちな気がしていた。しかし、もし設計図が手に入るとなれば話は別だ。計画は極めて現実的なものとなる。
「ミザリィ、それにロサ……私も、その計画の仲間に入れてもらえないかな?」
「ああ、クラリス~! ありがとう、あんたのその言葉を待っていたよ! 今日から三人でひとつの個だ。苦も、楽も、全てを分かち合おう」
「クラリスさん、よろしくお願いします。まだ出会ったばかりなので、私のこと何でも聞いて下さいね」
「二人とも、こちらこそありがとう。私、きっと力になれるよう努力する。それで、話は急に逸れてしまうんだけど――」
クラリスはモジモジとして恥ずかしそうにしていた。その言動の意味が分からず、ミザリィとロサはきょとんとして顔を見合わせる。
「なになに? 恥ずかしがらずに言いなよ」
「えっと、その……今日、お客さんにチップもらったから……パンツ買いに行きたいの。手伝って」
「アッハハハハ! もしかして、今までずっとノーパンだったの? くふっ、そりゃ面白すぎるって!」
「ミザリィさん、笑いすぎですよ! クラリスさんが可哀想。おパンツを穿いていないと、おまんこが風邪引いてしまいますわ」
「……アソコは風邪引かないよ。このもらったチップで買い物していいんだよね? 下着と、出来れば洋服も欲しくて……」
「明日のお昼にでも皆で買いに出掛けようか。ロサも客の予約はないって言っていたよね?」
「私は終日オフの予定です。世間一般では給料日前なので、今週は来客が減りますから丁度いいですね」
「付き合ってくれてありがとう。三人で買い物しながら、この娼館のルールとかも教えてほしいんだ」
「オッケー、それもぼちぼち話したいところだったから。明日の正午にまたロサと一緒にクラリスの部屋に来るよ」
「待っているね。これからは――いつも三人で頑張ろうね」
地獄の底で、遂に一縷の望みを垣間見た気がした。この瞬間――クラリスと、ミザリィと、ロサの三人は運命共同体となる。
この国では合法的に娼館が認められているため、粗暴で歪んだ性癖を持つ男達の来訪が後を絶たない。
彼女達が一流の娼婦とは異なる、別の未来を歩み出すきっかけとなった夜だった――。
接待.01
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