死にたい彼女と殺さない死神-Hシーン


『死にたい彼女と殺さない死神』

~Hシーン~ 初めてのセックス

 愛恵は上から順に寝間着を脱いだ。下着は身につけておらず、痩せてマネキンのような華奢な肢体が夕焼けに赤く染まる。
 胸は小振りで、やはり発育不全は否めない。しかし、スラっと伸びた両の手足は均衡が取れており、少女らしい曲線を描く腰と、下腹部に控えめに生えた茂みは綿毛みたいに柔らかそうで扇情的だった。
 その情景は高名な細工師が刻んだ芸術に等しい。見る人が見れば、儚さと、危うさと、妖艶が織り成す現代アートと讃えるだろう。
 逆光を浴びた愛恵が口角を上げて笑っている。彼女こそ――魅惑の天使だ。
「アンジュちゃん、セックスしよ」
 一糸纏わぬ姿で抱きつくと、無理矢理ベッドに押し倒した。死神に性別はないが、見た目や言動からして愛恵と同性には違いない。
 即ち――少女が、少女に性行為を所望している。

「愛恵」
「なぁに? どうしたの?」
「たった今この部屋に結界を張ったわ。これで外部に声は漏れないし、何人たりとも近付くことはないわ」
「それ便利だね。あたし、自慰の時でも声おっきいから助かる」
「それで……この後は、どうすればいい?」
「えへへ、アンジュちゃんもセックスの経験ないの? だったら一緒だね、どうしよう?」
「……貴女に主導権を委ねるわ」
「もう、ずっと受け身になってムードを台無しにしないでね。じゃあ、キスから始めよ」
 愛恵はアンジュに顔を寄せると、薔薇の蕾を思わせる真っ赤な唇に、そっとキスをした。
「んっ、んちゅ。あっ、んむっ……ん」
 始めこそ唇同士が軽く触れあうだけのフレンチ・キスだったが、次第に愛恵の行為はより強く相手を求めるものと変わった。
「ちゅるっ、ちゅっ、ちゅ、ちゅ……じゅるっ」
 舌と舌が物欲しそうに絡み合う。口内を蹂躙するために、強引に盛った舌先が割り入ってくる。
 ぎこちないふたりの舌の動きは、まるでナメクジのような軟体動物を思わせた。不規則的に、ヌラヌラと彷徨っている。
「んちゅっ、ちゅるるる……ちゅぱっ! はぁっ、病みつきになるくらい、気持ちいいね」
「…………」
「だから、何か喋ってよアンジュちゃん。これじゃひとりエッチしている時と大差ないよ」
「……私には初めての感覚で……筆舌に尽くしがたいとは、こんな心情なのかって……」
「嬉しいな。それって、要するに感じてくれているのかな?」
「……その問いは、私が答える必要のないことよ。さあ、早く続きをしましょう」
「狡いなあ。全く、素直じゃないんだから。でも、そう言うところも可愛いよ」
「余計なお世話よ。今度は、私から……」
 アンジュは愛恵の両頬を手のひらで包み込むと、熱く淫らなキスの雨を降らせた。
「ふむぅっ……んく、んっ……あ、ああ……んちゅ。ちゅっ」
 愛恵の呼吸は荒くなり肩で息をする。アンジュは声こそ出さないが、目がとろんと座って満更でもない様子だった。
「ちゅっ、ちゅ……んちゅ、ぷはっ! 息が続かないよ……見掛けによらず、積極的な一面もあるんだ」
「後学のためよ。セックスを知ることは、人間を知ることに繋がるわ」
「勉強熱心な天使様で素敵。赤ちゃん作る時もセックスしないの?」
「そんなことしないわ。そもそも神々は人間のような性器を持たない」
「ふふっ。じゃあ、今の時間を目一杯楽しまないとね。ここは感じるかな」
 黒装束の中に愛恵の指先が不法侵入する。スルスルッと蛇のように這い上がってくると、果実の種に似た突起へと到着した。
「愛恵? 待って、そこは……」
「待たないよ。きゅうっ」
 親指と人差し指でアンジュの乳首を軽く抓った。その刹那、電撃が走り身体は弓状に大きくしなってのけ反る。
「あぁんっ!」
「やった! 初めてアンジュちゃんの口から嬌声を聞いちゃった」
「だから、そこは私も――やあぁんっ!」
 カリカリと軽く指で引っ掻いて責めた。ふにゃっと柔らかかった乳首は、徐々に起き上がってピンと立つ。
「段々と声が出てきたね。もっと正直になっていいよ? アンジュちゃんも服を全部脱いで、裸になろう」
 ほぼ無抵抗だったアンジュを器用に脱がせた。張りのある大きな乳房とレースをあしらった黒いパンティ、陶磁器のような白い生脚が露わになる。
 ブラジャーはつけていないのに乳房の形は崩れておらず、乳首のサイズと反比例して乳輪の面積が広いのはギャップに思えた。

「わっ、おっぱい意外におっきいんだ。着痩せするタイプなんだね。ねえ、次は乳首を舐めちゃうよ?」
「そっそこは、気持ちの整理が、まだ――あんっ!」
「意地っ張りなんだね。もう、あたし達は堕ちるところまで堕ちるしかないの」
 愛恵は薄桃色をした乳首をペロリと舐め上げた。先程よりも更にのけ反り、身体にはうっすらと汗が浮いてきた。
「ほんのり甘みがあって、美味しい……ペロ、ペロペロッ、あむっ」
 二度、三度と舐めると、おもむろにアンジュの乳首に吸い付いた。ちゅっちゅ、ちゅっちゅと、ミルクを飲む真似事をして、唇で引っ張りながら吸う。
「はあっ、はあぁん! なに、これ……気持ち、良すぎ……」
「やーっと正直な言葉が出てきたよ。アンジュちゃんのおっぱいも、身体もひんやりして、スベスベですっごく気持ちぃよ」
「そんな感想、言わないで……いつまで、乳首ばかり……責めるのよ……」
「下の方も触ってほしい? 乳首でこんなに感じるなら、アソコはもっと敏感だったりして――って、あれっ?」
 アンジュのデリケートゾーンに手をやると、ついているはずの『ソレ』がなかった。竿は勿論のこと、穴も開いていない。
「だから言ったでしょ。神は性器を持たないと。少し、待っていて頂戴――」
 アンジュが何かを唱えると、下半身が神々しい光に包まれた。その眩い光の中で、ニョキニョキといびつな物体が愛恵の眼前まで迫って伸びてきた。
 太く逞しい男性器が形成された後、続いて花の甘い蜜のにおいが漂い、ペニスの数センチ下、肉厚なビラビラで折り重なったヴァギナが現れる。
「……すごぉい、男と女どっちも楽しめるね。血管がピクピク浮いてる……地球外生命体みたい」
 猛々しくそそり立ったペニスは既に海綿体が膨張しており、ぐっしょりと濡れそぼったヴァギナはヨダレを垂らした危険な食虫植物を彷彿とさせた。
「めちゃくちゃエッチだよ、アンジュちゃん……見ているだけで、あたしのアソコも疼いちゃう……」
「は、早く……愛恵、私のことを好きに責めて。性器がふたつあると、感度も倍増するみたいなの……」
「そんなこと言われると、期待しちゃうよ? うふふ、まずは女の方のアソコから食べちゃうよ」
 アンジュの股座に顔を埋めると、舌を思い切り伸ばし、サーモンピンクのビラビラを掻き分け、膣の中をベロベロとわざと下品に舐めた。
「あっ、あっ……ああっ! い、いきなりっ……駄目よ、壊れちゃうううっ!」
 じっとりと湿ったヴァギナから芳醇な蜜の匂いが強まる。愛恵の舌に啜られた愛液がヌチュッと伸びて、泡立った糸をツツッと引いた。
「んっ、じゅる、あんっ、じゅるぅ……じゅるじゅるっ」
 ぴったりと唇を膣の入口と密着させて、舌を上下左右にロールさせながらヴァギナを貪る。それと同時に鼻の頭でクリトリスをツンツンと小突く。
「駄目、駄目ぇ……刺激が強すぎて……! 私、何だか、変に……! ああっ、あああんっ!!」
 僅か数秒クンニリングスをされただけで、アンジュはピュピュッと潮を吹いた。愛恵は飛沫を全て顔で受け止めると、ペロリと自分の口周りを舐める。
「お潮で顔面パックしちゃった。少し酸味があって、とろっとして、ムラムラしてくるエッチィ味。ご馳走様」
「ハァ、ハァ……か、解説なんて、しないで……よ」
「息も切れ切れじゃない。ここで止めちゃう?」
「えっ、それは駄目! 止めないで! ここで止めたら、私、頭がおかしくなりそう……」 
「冗談だよ。最後までしようね? それに、まだあたしは全然舐めてもらってないよ」
 愛恵は力なく横たわるアンジュの顔に跨ると、ピッチリとくっついて閉じた自分の性器を差し出した。
「一緒に舐め合いっこしよ。それなら、ふたりで気持ちぃこと出来るから」
「分かったわ……私の顔の上に、遠慮なくおまんこを乗せてぇ」
「アンジュちゃんほどの美人が『おまんこ』って言うのインモラルすぎ。あたし、歴史上の中でも、最大級の禁忌を犯しているね……」
「本当にその通り……これは神への冒涜よ。よって罰を与えるから……じゅる、じゅるるるるるっ!」
「ああんっ! ちょ、ちょっと、あっあっあっあああああんっ!!」
 突然クリトリスを強く吸引された愛恵は、これまでで一番大きな声を上げた。日頃のクリオナによって彼女の感度は充分に高まっている。
「ちゅーっ、ちゅ、じゅるん! じゅるるっじゅるるるる!」
「あ、ヤバい、もっと、もっともっと! あたしのお豆を存分に虐めてええぇっ!!」
 快楽スイッチがオンに入った愛恵は、呼吸器官を塞ぐ勢いでクリトリスをグイグイと顔に押し付けた。
 アンジュは寸分のズレもない正確な舌技を繰り出し、愛恵の感じるポイントを的確に刺激する。
「じゅるっ、じゅる、くちゅっ、くちゅくちゅ……ちゅぽっ」
「はあん! もう、やだぁ……今からは、私が責めるんだからぁっ!」
 愛恵はアンジュから生えたペニスの根元部分をガシッと掴んだ。予想だにしていなかった新たな感覚に、くぐもった声が響く。
「んんっ! んんんっ~!」
「あたし、処女でもソーセージでフェラチオの特訓していたから。上手だよ?」
 長く垂れた髪を一度掻き上げると、ベーッと舌を出しながら亀頭をずっぽり飲み込んだ。
「じゅるるうっ、じゅるっ! じゅるるるっ! じゅうるるるっ!!」
 とても初めてとは思えない、高度な口淫攻撃にアンジュの腰はガクガクと小刻みに震えた。
「ん~~ん~~!!  むぅんんっ~~~~!!!」
 アンジュの鼻と口はヴァギナの圧と愛液によって完全に密閉され、まともに声を出せなかった。次第に酸欠状態となるのに、凄まじい快感だけが鮮明に電気信号として脳に届く。
 「ん、ぷはぁ! ハァ、ハァッ……ふぅ……呼吸が、止まるかと、思った……」
 顔を左右に振って画面騎乗から逃れたアンジュは、新鮮な空気を肺一杯に吸い込んだ。
「じゅぽ、じゅぽじゅぽ……ひゃ、ひゃっぱり、これ、おおひぃ……」
 頬の形が変わるほど奥まで咥えながら喋るせいで、ペニスの裏筋部分に歯が当たり、微かな痛みがアクセントとしてチクチクと襲い掛かってくる。
「つうっ! 歯が、当たってる! 話しながらしゃぶらないで!!」
「ふぁあい? ひゃんか、ふぃったぁ?」
「あん! うくっ……だから、舐めるのだけに集中してぇぇ!」
 アンジュの懇願をようやく聞き入れて、唾液まみれで白く泡立ったカリをちゅぽんと解放した。
「痛かった? えへっ、ごめんね。わざとだよ。だって、アンジュちゃんの反応があまりにも女の子してて、可愛いから……ね」
「歯を当ててくるわ、おまんこで窒息させるわ……度が過ぎる。それより、もう限界よ……」
「限界って、イッちゃいそうってこと?」
「違うわ。愛恵の中に……挿入したくて、堪らないの。切ないの」
「だってえ、こんなぶっといのが入ったら、あたしのアソコ破裂するかも……? どうしても、挿れたい?」
 敢えて意地悪をしているのだろう。しかし、すっかり快楽堕ちしたアンジュには、もう心の余裕などなかった。
「挿れたい! 挿れたい挿れたいのぉ! 愛恵のおまんこの中に、挿れさせて……お願い」
「じゃあ、いいよ。あたしのバージン、捧げるから。一生の想い出にしてね」
 シックスナインの体勢から愛恵は身体を回転させ、騎乗位スタイルで向き合う形になる。久し振りに互いの顔と顔を合わせる。
「改めて……行為の最中に目が合うのって、恥ずかしい……」
「すっかりアンジュちゃんはしおらしくなったね。それでこそ、あたしの理想の天使様よ」
「そう……私は天使になれたかしら?」
「それはご立派な天使様よ」
「良かった……じゃあ、挿れるわね。私が愛恵の処女を奪うわよ」
「来て。でも、初めての挿入はあたし主導でいい? アソコが狭いから、血が沢山出ると思うの……」
 竿がブレないようにしっかり掴むと、愛恵はそおっと膣の入口部分に擦り付ける。こんな太いものが本当に収まるのか、入念に確かめている。
「行くね……んんっ! い、いだああっ……!」
「だ、大丈夫なの? いきなり無理はしなくとも――」
 愛恵はアンジュの言葉を右手で制する。少し涙目になりながらも、その表情からは覚悟の色が伺えた。
 再びペニスを掴んで、さっきと同じ要領で入口まで誘導すると、勢いをつけて深く腰を下ろした。
 ミチミチィッ! プツッ――アンジュの巨根が、処女膜を容赦なく貫いた。
「きゃあああああああああああっ!!!!」
 結界を突き抜けてフロア全体に響きそうな声で愛恵は叫んだ。予測していた通り、結合部からうっすらと鮮血が滲んでいる。痛烈な破瓜デビューだ。
 
「い、痛かった?」
「ちょっと……いや、相当痛かったけど……多分、ゆっくりなら動けるから」
「そう……ああっ、愛恵の膣内は温かくて、プチプチとしたヒダが絡みついてきて……溶けそうだわ……」
 こんなにも放蕩したアンジュの表情は見たことがなかった。死神の彼女もまた、性行為という初体験をこの瞬間に迎えていた。
 「ヌチュ、ヌチュッ……グリュ、グリュッ……」
 摩擦でヴァギナが痛むためか、その腰つきはぎこちない。 しかし、慣れのせいか徐々にその動きはリズミカルになってくる。
「ん、うんっ、んん、んあはぁっ!!」
 愛恵は鈍痛と快感の狭間を行ったり来たりしていた。それでも時間さえ経てば、気付かない内に快感の方が勝ってくる。
 一方、アンジュは未だ惚けた表情のままだった。膣内にギュッと包まれる初めての感触を存分に楽しんでいた。
「か、愛恵……ひとつ、私の頼みを聞いてほしいの」
「あはぁっ、頼み……うん、いいよぉ……」
「おまんこ……ペニスを締め付けながら、私のおまんこも弄ってほしい……」
「両方のアソコで、同時に気持ち良くなりたいの?」
「ええ、そうよ……また焦らすの? 欲しいのっ! おちんちんとおまんこの両方で一緒にイキたいのよぉぉ!!」
 遂にアンジュは本能のまま、卑猥な単語を恥ずかしげもなく絶叫した。セックスに溺れ、快楽に負け、完璧に屈してしまったのだった。
「アソコが少しジンジンするから、あんま上手に出来ないかもだけど――」
 グラインドの速度をやや落として、右手はアンジュの腹部に添えたまま、左手でビラビラの部分をクニュクニュと捏ねた。
「ああんっ! それ! いい、いいわぁ! おまんこの外も、中も、どっちも気持ちいいのぉぉぉ!」
「あたし、アソコの気持ち良いスポット知っているよぉ。もっと、感じてほしいな」
 弧を描きながら愛撫していた手のひらを、二本指を突き立てるポーズに変え、アンジュのヴァギナの中に埋めた。
「あっあっああっ!! あああああああんああんっ!!!」
 再びアンジュの口から絶叫が上がる。ただ、ただ、それは目の前の欲に従順な獣の咆哮だった。
 ふたりだけの世界を邪魔するものも、穢すものもいない。神による姦淫、ここは神聖な空間なのだ。
「もっと! もっとぉ! おまんこを指で突いて! 捩じって、掻き回してぇぇ!!!」
「ぐじゅっ、ぐじゅっ、くちゅくちゅくちゅっ、ぐちゅっ」
 指の動きと連動して、愛恵の腰つきが勢いを増した。前後に擦るように動くことで、クリトリスに強い刺激が伝わることを覚えたようだった。
「はあんっ! ああああんっあんあんっ! あぁああああん!」
 勝るとも劣らない、愛恵も大きな声を出した。痛みが麻痺して、彼女もまたセックスの虜になってしまった。
「ぐちゅっ、ぐりゅ、ぐにゅっ、ぐちゅっ、じゅるっ」
 粘膜のオーケストラが奏でられる。さながらこれはデュエット。クライマックスが近付いて、崇高なセックスが間もなく終わろうとしている。
「アンジュちゃん! どうしよっ、あたし……イキそう! ついさっきまで処女だったのに、初めてなのにイッちゃいそう~~!」
「愛恵……私も、今度こそ、駄目ぇ……! おちんちんも限界で、おまんこも爆発寸前よっ!! 両方の性器でイキそうっ!!」
「ああっ! あ、あっあっ! 一緒に、イク……? 妊娠なんてしないから、中にたっぷり精子を出してぇぇぇ!!」
「ううぅっ出る出る出る! どっちもイク! イク、イク! イクイクイクイクイク――」
「アンジュちゃああああああああああああんっ!!!」
「愛恵……かなえええええええぇぇぇぇっ!!」
 ビュルッ、ビュビュビュビュ!! ビュウウウウ! ブシューッ!!!
 射精すると同時に、アンジュのヴァギナも絶頂を迎えた。再び吹いた二度目の潮は、勢いのあまり全身にピチャッと降り注ぐ。
 愛恵はビクビクと膣痙攣を起こして、いきり勃ったままの巨根をギュウウウと呪縛した。膣の締め付けに合わせて、ドクドクと射精が無限に続く。
「はあ、はあ、あたし……死んじゃいそう……」
「ゼィ、ゼィ……今はまだ、死なないで……魂を連れて行くのは、今じゃない……」
「そう言うアンジュちゃんの方が、死にそうだよ……」
「私は死神よ。死神が死ぬなんて……笑えないわ……」
「うふふっ、やっぱり可愛いね」
 ようやく膣痙攣が収まり、少しだけ沈静化したペニスを引き抜いた。ブビュッと汚い音がして、ザーメンがドロリと溢れ出て白濁した水溜りを作った。
「うわあ、精子の量すっごい……変なにおい、スルメくさいよ」
「それは人間のザーメンと同じ成分だから……」
「あーあ、あたしが病気じゃない健康体だったらなあ。アンジュちゃんの子供なら、産むの考えても良かったのに」
「死神の子を人間が孕むなど前代未聞よ、禁忌中の禁忌。ありえないわ」
「あたし達のセックスだって赦されることじゃない大罪でしょ? つれないこと言うね――ただ、偽りでも愛してくれてありがと」
 愛恵は目を瞑ると、数秒後には小さな寝息を立て始めた。疲労感も大きかったのか、そう簡単には起きそうにない。
「これが、セックスなのか……人間とは、羨ましい生物だな」
 ぼそっとアンジュは呟くと、愛恵の頭を優しく撫でて、愛おしそうに自分の胸の中に抱き寄せた――。

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